ギターリペア、ギター修理、製作工房【ナインス】

Gibson L-Jr

Gibson L-Jr。1920年代、Gibson L-1の廉価版(プロトタイプ)として20年代前後に作られていたレアなモデル。ボディ割れ、ブレーシング剝がれ、裏板剥がれを修理しました。

Gibson / クラック修理 / ブレーシング剥がれ / 裏板剥がれ /

珍しいアーチトップギター、
Gibson L-Jrの修理です。
当時、Gibson L-1の廉価版として
20年代前後に作られていたレアなモデル。
バインディングなどの飾りは施されておらず
非常にシンプルな作りとなっています。
13インチ程の小ぶりなボディ。
アーチトップ板は削り出し、スプルース。
サイド・バック材はメープルだと思われます。
ヘッドは20年代の数年間に存在した
「スネークヘッド」と呼ばれる珍しい形状。
ペグは20年代、3連オープンバック物の
復刻物に交換されています。
ブリッジはオリジナル台座の上に
フィッシュマン製のアーチトップギター用、
ピエゾピックアップが取り付けられています。
配線、ジャックはテールピースに
セットされています。
ボディ、指板に沿って
クラックが入っています。
ギター内部をチェック。
裏側からはパッチ修理がしてありましたが
その上から再発してしまった様です。
古いパッチを削り取り
スプルース端材から作ったパッチを・・・
割れ沿いに接着。
クランプして乾燥させます。
今回は長めで強度を優先したパッチを
杢目を交差させて貼り、補強。
続いて
トップ板、ブックマッチ部に沿って
剥がれが見られますので補強します。
ギター内部。
ブレーシングの配置など、
非常にシンプルな構造ですね。
過去にパッチ処理がしてありますが
何故かブックマッチ部から外れた位置です。
これでは効果がありませんので
スプルース端材から
パッチ材を作り・・・
ブックマッチ部分に沿い接着。
剥がれの広がりを防ぎます。
続いて、
ブレーシングの端に
剥がれがありますので修理。
接着剤をすり込み圧着。
裏板の一部にも
剥がれがありますので・・・
接着剤をすり込んでクランプ。
乾燥させます。
フレット、指板の汚れを・・・
クリーニング。
磨いて仕上げます。
外れたナットの再接着前に
古い接着剤を除去。
ナットを接着して
溝を調整。
最後にボディの汚れを
クリーニング。
新しい弦を張りリペア完了。
オリジナルブリッジには
貴重な当時のパテント刻印があります。
ネック太さは最近のギターでは考えられない程
極太ですが、慣れると意外に握りやすく
安心感があります。

流石にネックは真っ直ぐですね。
色々なところに手作り感が残る
ギブソン聡明期の貴重なギター。
91年経ってもまだまだ現役です。
ブライトで歯切れの良い
アーチトップ・サウンドが心地良いギターでした。

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