ギターリペア、ギター修理、製作工房【ナインス】

Godin Multiac Spectrum SA

ゴダンギターの改造

ビグスビー取り付け /

独創的なコンセプトのギターメーカー、ゴダン。
このモデルはダンカン製のリップスティック・
ピックアップと各弦独立したサドル一体型の
ピエゾピックアップを搭載、
その他、ギターシンセとしても使えるなど
非常に色々な機能をもつギターです。
今回はこのギターに
ビグスビーのトレモロアームを
取り付けてほしいとの
非常に珍しいご依頼。
只、このギターの構造は
ぱっと見、ソリッド構造に見えますが、
内部の作りはトップ板厚3mm位の
アコースティック構造です。
その為、アームを取り付けるには
強度が足りません。
その上、裏板側にあるギター内部への
アクセス口は狭く補強材を追加する為の
作業性も悪い状態です。
その他、色々と懸念はありますが
アーム取り付け改造への
オーナー様の熱意は強い為
相談してこの部分を広げトップ板を補強する為の
作業性を良くして改造を進める事にしました。
構造など細部をチェックして
のこぎり等で広げます。
裏板の厚さは10mm位あり、
大きく広げても強度は問題ないです。
ビグスビーのトレモロアームを
取り付ける位置を決める為
貼られていたステッカーを剥がします。
綺麗にはがれました。
ネックの中心を記します。
>ボディ、ブリッジ上の中心を記し
トレモロアームの取り付け位置を決めます。
>ネック中心の延長線をチェック。
取り付け後、テンションの問題がありますので
サドルからの弦の角度が極力鋭角になるように
ブリッジ近くに取り付けます。
決まりましたら
取り付けのネジ穴をあけます。
>アーム取り付け位置は決まりましたので
広げた裏板側を仕上げます。
>写真ではわかり辛いですが、
力木はXブレーシングで配置されています。
>ヤスリ等で広げた木口を整え・・・
>ルーターでカバー取り付けの
段差を作り・・・
>カバーを製作して仕上げ。
次は補強です。
アームの寸法などをチェック。
補強材の種類、位置、厚み、幅など考えます。
アーム取り付け穴を
中心に補強場所を決め・・・
補強材を切り出します。
補強には硬いマホ、黒檀なども考えましたが
今回は音響、質量なども考慮して粘り強い
スプルース材で補強。
>何度かに分けて補強材を接着。
全ての補強材を取り付て形を成形。
弦を張り細部チェック後に必要であれば追加します。
>ブリッジの弦を通す穴は
今後使わなくなりますので
埋めておきます。
>黒檀を切り出して・・・
接着して穴埋め。
乾燥後、成形して仕上げ。 
補強作業は完了。
実際に弦を張り
ネック周りなどの調整をします。
>チェックしたらピエゾ一体型サドルの2、3弦が
反応していなかった為、修理。
サドルの弦溝を調整してアームを使う際の
弦の滑りをUP。併せて弦落ちを防ぐように調整。
>フレットを仕上げて・・・
最終チェック。
ネックの状態が良かったので
弦高も約2ミリ~約1.5ミリにセッテング。
懸念していた強度、テンションなども大きな
問題なく演奏出来ました。 
裏板には少し大きなカバーがつきましたが
アーム取り付けの改造は完了。
>思っていたよりトレモロの効果もスムース。
見た目も含め、オリジナリティ抜群の
面白いギターに仕上りました。

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