Gibson L-0 戦前、1930年~31年製だと思われる Gibson L-0のギター修理。
Gibson / ギブソン / サドル交換 / ナット交換 / ネックアイロン / フレット交換 / ブリッジ再接着 /
戦前もの、1930年~31年製だと思われる GibsonL-0のリペアです。ブラック・フィニッシュなので 判りづらいですがトップ板、サイドバック板もマホガニーです。 その上、12Fジョイントでブラックフィニッシュ ですから非常にレアなモデルです。 |
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内部の様子をチェック。 ブレーシングはラダーではなくXブレーシングです。 年代から見てもギブソンの Xブレーシングのはしりだと思われます。 写真などは貴重な資料とさせていただきます。 |
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トップ板の力木に剥がれがありましたので修理。 トップ板、力木などの作りは非常に薄いので 慎重に作業します。 ボディ全体もビックリするほど軽量です。 |
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力木の修理後は剥がれかけたブリッジの修理です。 | |
ラバーヒーターでブリッジに熱を加え 古い接着剤を軟化させます。 |
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接着剤が緩みましたら パレットナイフなどでブリッジを外します。 |
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ヴィンテージギターはどうしても経年変化から トップ板が膨らむ傾向にありますので ブリッジ底とトップ板の形状を極力合わせます。 |
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ブリッジとボディがしっかり合わさりましたら 細部をチェックして手早く接着。 3日程クランプしておきます。 |
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トップの膨らみ、ネックの順反り等で 少し弦高が高い状態ですので ネックヒーターで時間をかけ修正します。 |
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ネックも良い状態に修正出来ました。 | |
次は消耗したフレットの交換。 フレットをこてで暖めて極力指板が めくれないように抜いていきます。 |
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指板のアールを確認。 | |
指板を調整。 状況にもよりますが、指板調整をしておきますと フレット打ち込み後のすり合わせ作業時に 新たなフレットをあまり削る事無く作業出来ます。 |
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指板アールの修正。 | |
そしてフレット溝を調整。 | |
溝をクリーニングします。 | |
新たに打ち込むフレットのタング部分を フレット溝の幅に調整しておきます。 |
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新しいフレットを指板のアールにあわせカット。 | |
このギターの板厚は非常に薄い為、 サウンドホール付近のフレットは専用工具でプレス。 これで極薄ボディに大きな衝撃を与える事無く 打ち込むことが出来ます。 |
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フレットを打ち込みました。 | |
はみ出したフレットをカットしていきます。 | |
フレットの端をヤスリで斜めに揃えます。 | |
通常この後フレットのすり合わせの作業ですが このギターにはサイドポジションのマークがありません。 付けてほしいとの事でしたのでサイドポジションを 加えます。 |
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フレットの状態を直定規など確認。 | |
フレットのすり合わせを行います。 | |
フレットエッジのバリ処理。 | |
すり合わせ後、平らになったフレットの頭を 専用工具で丸く処理していきます。 |
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その後、荒目のペ-パーヤスリから徐々に番目を上げ 途中、スチールウールに変えて傷を落としていきます。 |
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仕上げはコンパウンドで磨き上げフレット交換は完了。 | |
次はナット交換です。 ナット溝の古い接着剤をクリーニング。 |
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素材の黒檀を適当なサイズにカット。 | |
ナット溝のサイズにあわせます。 | |
大まかにナットを成形。 そしてナット溝に軽く接着します。 |
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サドルも交換しますので素材、牛骨の平面だしをして サドル幅のサイズに合わせます。 |
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このギターはロングサドルですので 両サイドの加工をミニルーターで行います。 |
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ナット、サドルともに大まかな形を整えましたら 実際に弦を張り弦高などの調整をします。 ここでの調整が弾き易さにかなり影響しますので 慎重に微調整を繰り返します。 |
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溝の調整後、ナットの形を整え磨きます。 | |
ナットの完成。 | |
サドルも完成です。 | |
最後にペグ交換です。 最近は1920年代に使われていた オープンバッグタイプのペグ復刻版が出ています。 |
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マイナスネジ仕様でレリック加工がしてあり その上、精度も良いですのでお勧めです。 |
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最終的に弦高も12F上で 6弦 約2.3~1弦 約1.6ミリにセッティング。 |
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戦前ギターの貴重な素材、軽量な作りなどと相俟って レスポンスの早い明瞭な音が素晴らしい・・。 貴重な戦前ギブソンでした。 |