ギターリペア、ギター修理、製作工房【ナインス】

マーチン D-18

Martin / ピックガード交換 / ブリッジ再接着 / メンテナンス /

1972年製、Martin D-18の修理依頼。
経年変化で縮んだピックガードは
剥がれてしまっています。
この頃のマーティンはピックガードを
貼ってから塗装をしていました。
そのため経年変化などから、膨張率の違う
表板とピックガードが干渉しあって
表板が割れてしまう事がよくあります。
このような割れをマーティンクラックと呼んでいます。
写真ではわかりずらいですが
ブリッジも剥がれかかっています。
まずはブリッジの剥がれから修理。
ラバーヒーターでブリッジを暖めます。
接着剤が充分に緩んだら
隙間にナイフを入れて・・・
ゆっくり剥がします。
ブリッジ裏、表板に残った
古い接着剤を取り除きます。
ここ最近は、ほとんど弾いていなかったとの事。
ブリッジを再接着する前に
クリーナーで長年の汚れを取り去ります。
ペグも外してクリーニング。
頑固な汚れもとれ、ボディも綺麗になりましたので
ブリッジと表板の当り面を調整して
ブリッジを接着します。
クランプをかける順序を確認後
手早く作業して、はみ出た接着剤を
拭き取ります。
3~5日、充分に乾燥させます。
ブリッジ修理後に
マーチンクラックを補修。
ピックガード跡と周りの塗装との境には
結構な段差がありましたので軽く塗装して
段差部分を滑らかにします。
塗装の乾燥を待つ間ブリッジピン穴、
その他の部分を調整。
フレットも錆び付いています。
指板の汚れを取り
マスキングしてスチールウールで
汚れをおとし・・・
金属用コンパウンドで磨いたら・・・
仕上げ。
サステーン、
弾き心地がのUPが
期待できます。
その他、横板、ボトム付近の
クラックには接着剤を擦り込み。
弦高は12F上で3ミリ弱と
最近主流のセッティングと比べますと
少々高い状態でした。
ネック、フレット等の状態から目標弦高決めて
サドル底を削り、弦高を落とします。
サドル表面も磨いて仕上げ。
サドルと併せて
ナット溝の接点の調整。
ご希望通り
弾き易く低めの弦高に
セット出来ました。
次はピックガードの製作です。
クラック部分が隠れる様に
若干大きめのサイズに作り変えます。
厚紙で型を作り切り出します。
厚紙で型を作り、
大まかに切り出します。
サイズを合わせたら
ヤスリで角をおとして
滑らかに仕上げます。
その当時と同じ様な雰囲気を出す為
ピックガード上から塗装して仕上げ。
乾燥後、貼り付けて完了。
トップ板、塗装には無数のウェザチェックが入って
ヴィンテージの風格が漂い貫禄充分。
音も適度に枯れて豊かな鳴りが
気持ちよいギターでした。
この後は再び演奏を楽しまれるとの事・・・
よかったです。

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