ギターリペア、ギター修理、製作工房【ナインス】

Recording King Carson Robison

カーソン・ロビソン・レコーディングキング

クラック修理 / サドル交換 / ナット交換 / ネックリセット / フレット交換 / ブリッジ再接着 / レコーディング・キング / 力木追加 /

30年代に製造された
Recording King Carson Robison。
以前修理したKalamazoo KG-14と
ほぼ同じ作りと思われます。 
ヘッドのロゴからもわかりますように、
このギターはカントリー・シンガー、
カーソン・J・ロビソンの
シグネーチャーモデルでもあります。
カラマズーKG-14と同じ様に
Gibson L-00との
相違点はトラスロッドが入っていないのと
力木の配置がシンプルな
ラダーブレイシングである事でしょうか・・・。
ボディの細部をチェックします。
ボディには多数の割れが入っています。
割れ口には接着剤がすり込まれていて
何ヶ所かは、割れ止め用にパッチ処理が
されています。
力木の剥がれも数ヶ所ありました。
トップ板の膨らみの影響からブリッジも剥がれています。 
ネック角度を見てみます。
トップ板の膨らみ、ネックの元起きの原因で
サドル高さに余裕もなく弦高も高い状態です。
オーナーと相談してネックを外し差込み角度を
直すネックリセットを行う事にしました。
15Fのフレットを抜きスチームを入れる為の穴をあけます。 
ボディにかかる指板に熱を加え接着剤を緩めておきます。
パレットナイフ等で15F辺りまでの接着を剥がします。
スチームで接着剤を緩め
ネックを外します。
ネックを外しました。
角度修正などの前に充分乾燥させます。
ネックジョイント修正の前に
力木の剥がれ等を修理します。
表面版、割れの裏側には数ヶ所の割れ止めパッチが
当ててありますが、チェックして危なそうな所には
小さめのパッチを追加。
最終段階、弦を張った状態でまだトップ板が動く
様でしたら追加することにします。
トップ板の負担を軽減する為、
外側からもクランプしておきます。
力木などの修理が終わりましたら
ブリッジ周りの修理です。
接着面をきれいにして再接着の準備をします。
クランプ中。
数日乾燥させます。
ブリッジ再接着の次は痛んだ
ブリッジプレートを修理します。 
専用工具でブリッジプレートの痛んだ
弦のエンドポールが当る部分をくり貫きます。
その窪みにメープル板から作った
円形の端材を合わせ接着。
全ての穴を1度埋めました。
この後、弦を張る際に穴をあけて調整します。
ボディの割れ等の修理が終わりましたら
ジョイント部分の修正です。
ネックを外した状態ではブロック内の左右の側面、
2面しか当っておりません。
このままでは不十分ですので
ダブティルを修正して組み直します。
継ぎ足すマホガニーを接着中。
乾いたら鑿等で形を整えていきます。
大体整いました。
この後、ボディと合わせながら角度修正します。
ボディ側も鑿などで修正。
鑿等で削り、角度を調整。
正常なネック角度になるまで調整します。
角度調整で削った分、緩くなりますので
メイプル等の付き板をはさみその部分を調整して
蟻ホゾの締まりをきつくします。
角度が決まりましたら
中心もあわせます。
細部を確認して問題なければ
ボディとネックを接着します。
接着クランプ中。
数日乾燥させます。
数日後、接着剤が硬化したら
フレット交換をします。
ローズウッドの端材でサイズをあわせ
スチームを入れる為にあけた穴を埋めます。
消耗したフレットを抜きます。
古いナットも外します。
スケールで指板の状態を確認。
指板調整をします。
溝をクリーニング。
フレット交換の準備が整いました。
このギターにはボディに多数の割れが
ありますので専用工具にてフレットを
プレスする方法でフレット交換をすすめます。
ハンマーで打ち込む方法と違い衝撃を
あたえませんのでボディ、ネックには安全な方法です。
途中、工具を変えながらプレス式で
フレット交換をすすめます。
全てのフレットをプレスしました。
フレットの端を斜めに削ります。
次はフレットのすり合わせです。
スケールなどでフレットの状態を確認。
フレットの高い部分を中心に全体をすり合わせます。
すり合わせ後、平らになった
フレットの角をヤスリで削ります。
そして専用ヤスリでフレットの頭を丸めます。
耐水ペーパー、スチールウールなどで
フレットの傷を落とし磨いて仕上げます。
フレット交換は完了。
次はナット交換です。
今回の素材は牛骨を使用します。
ナット素材の各面の平面出し。
溝のサイズに形を合わせます。
同様、サドルも溝のサイズに合わせます。
サイズが合いましたら大まかな高さに削ります。
この後、実際に弦を張り弦高など調整します。
ペグも換してほしいとの事でしたので
20年代スタイルのレプリカ物に交換。
レリック加工されている為、
この年代のギターの雰囲気にピッタリです。
チューニングも安定します。
サイドポジションマークも入れて
ほしいとの事でしたので追加。
メープルで補強した
ブリッジプレートに穴をあけ、弦を通します。
修理後はしっかりと弦エンドポールを
支えられる様になりました。
ナットの溝きり。
角度、接点などサドルと併せて調整。
溝の調整が終わりましたら
ナット全体を磨きます。
ナット完成。
サドルも同様に磨いて仕上げます。
テンションをかけ様子を見ますと
サウンドホール辺りが少し動くようなので
トーンバーを追加。
フィンガースタイルでの演奏が中心との事でしたので
弦高も12F上で約2.2ミリ~約1.6ミリにセッティング。
Recording King Carson Robison、リペア、修理 傷だらけのボディが発するオーラと風格。
この年代のギターでしかでしか味わえない
深い低音とラダーブレーシング特有の立ち
上がりのよい高音がご機嫌なギターでした。

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